専門学校の講師と言っても、いわゆる「非常勤講師」なので、単純に「コマ数」単位の給与制になります。
時間外…すなわち授業の準備に相当する部分は「無給」になります。そりゃ仕方ないですよね、いわゆる「成果型報酬」みたいなものなので…。
実質「授業時間」そのものに対しての対価が支払われるのに対して、その準備に費やした時間には「時給」何ぞ発生するわけがありません。それらも含めての「一コマ●●円」という契約ですから。
漫画家の間で時々話題に登る「アシスタント代」。通いのアシスタントの場合は「日給制」や「時給制」のシステムを取っている人が多い様ですが、最近は「在宅アシスタント」というシステムを取っている漫画家も結構増えてきました。デジタル化が進んでいるので、合理的といえば合理的です。
さてここで問題になるのが「在宅」で「時給制」が成立するのかという問題。
Skypeなどで時間を共有した状態でリアルタイムに支持を出して作業をして貰う形なら「時給」でもいいでしょう。それは「一定時間で拘束している」から、事実上「通い」と同等になります。
しかしそうでない場合は、「歩合制」「出来高制」のシステムを取ることになります。
その場合は単純に「ページ単価」や「コマ単価」にプラスアルファ「能力給」を上乗せするという形が多く見られます。
この方法だと、おそらく遅筆の人は通い時代よりも収入が減ってしまうことになるでしょう。これに不満を持つアシスタントさんもいるようですが、「在宅」で時間拘束がないアシ作業に対して、どうすれば「時給」換算できるのでしょうか?流石にそれには無理があるように思います。
フリーランスで在宅で仕事をしているのに「時給」で計算してもらっている人の場合は、時間単位での作業の進捗などを記載した細かい勤務報告書の様なレポートを提出することが義務付けられているという話を聞いたことがあります。つまり一つの仕事をダラダラと時間伸ばしして作業して、少しでも多くの給料を手に入れようとすることは流石に雇用者も許さないということです。
在宅に対して「時給」で支払うシステムを採用するなら、まさに通勤と同等の就労実態が必要というわけです。
マンガの「出来高制」で、基礎トーン等の仕上げ作業が、一ページにつき金額が500円位から有るみたいですが、多いところでもせいぜい2000円位醸しれません。
その値段が「安い」と思うか「高い」と思うか…。それはトーン処理をする数、種類にもよりますし、アシさんの作業スピードにもよりますが、漫画家の原稿料単価から考えると、トーン仕上げにそんなにたくさんは払えないでしょう。
背景作画のアシスタントなら、もっと単価は高くなるはずですが、それでも一ページあたりで、原稿料の単価よりも高くなるケースはそれほど多くはないでしょう。
それでも在宅で複数の漫画家からの依頼を受けて背景や仕上げをやって効率的に収入を得ているアシスタントさんがいるのも事実です。スピードが有る人は、より沢山の仕事をこなすことができるので、当然収入も安定します。
漫画家はアシスタントさんがいてこそ成り立つ職業と言っても過言ではありません。
でも昔と違ってアシスタントがプロへの近道だとか、修行の一環だという時代とはかなり様変わりしました。一部の漫画家さんはアシスタントさんを「育てる」余裕がある場合も有るかもしれませんが、多くの現場では「即戦力」だけが求められています。無駄に時間だけ費やして作業が遅い人は、敬遠されるのも致し方無いとも言えます。
………話が冒頭から大きくそれてしまいましたが、要は一番求められている事に対して「対価」が支払われているというのが仕事の現場の現実だということ。
漫画家に対しては「完成原稿」を、アシスタントに対しては「指定した背景や原稿の仕上げ」、専門学校講師に対しては「最適な授業の実施」…です。
それを実現するために必要な「時間」に対しては、直接対価は支払われていません。
見方によってはこういう職種は、一般企業に努めている人から見れば、すごく「ブラック」に見えるんでしょうか?自分はアルバイトくらいしか一般の職業の経験がないのでよく解りませんが…