日別アーカイブ: 2015年1月19日

黎明期のデジタルカラー原稿の入稿方法

エロマンガの現場、大休刊号の中でもちょっと話していますが、カラー原稿をデジタルでやるようになった当初、まだいくつかの出版社はデータ入稿に対応していなかったため、プリントアウトしたものを入稿版下にしていました。

デジタルで描いたカラーを版下にするために買ったプリンタは、A3ノビがプリントできるプリンタ…おそらくEPSONのMJ-5000Cだったと思います。1枚プリントするのに凄く時間かかって編集さんを待たせてしまった痛い記憶が…。
更に
は、インクジェット特有のドットが印刷結果にモロに出てかなり汚くて愕然とし痛い記憶も…
でもデータ入稿できない以上、何らかの形でプリントしなきゃいけないので、ある時期から大宮のとある出力センターでプリントアウトをお願いしていました。
そこに置いていたのは、当時憧れだった超高価な昇華型プリンタ、住友スリーエム社製の3Mレインボーでした。

昇華型といえば、当時デジタル絵描きさんの中では定番だったプリンタは、アルプスのマイクロドライシリーズです。私もMD-2000を購入して使っていましたが、プリントアウト出来るのはA4までなので版下には使えません。実際には使えないことはなかったんでしょうけど、原稿サイズB4が基本でしたから…。

話し戻って3Mレインボー。さすがに個人で購入するには敷居がかなり高いプリンタでした。
なにしろ、普及型で200万、汎用型で300万という、それは車の価格ですかってくらい高いものでした。
アルプスのMDシリーズの昇華型プリントは、リボンを往復させる方法なので、プロセスカラーのCMYKのインクリボンをセットする形でしたが、この3Mレインボーは、A3サイズのCMYKのインクシートを使うので、凄くランニングコストが高くて、一枚のプリントアウト出力の価格が3000円でした。インクシートの原価で1500円~2000円位だと伺っていたので、もし個人で導入するにしてもランニングコストが恐ろしく高くて軽々しくプリントアウトなんぞ出来ません(^_^;)。

そんな3Mレインボーでプリントアウトした「版下」が原稿のお蔵出しで出てきました。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

原稿は単行本未収録作品で、ワニマガジン社のエロトピアに連載していたものです。

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

原稿の裏側を見ると、専用用紙の証である「RAINBOW SYSTEM BASE MATERIAL 3M」の地紋があります。
このプリントアウト版下、当時は最高の出力クオリティだと思っていましたが、実際にUPで見てみると…。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

ちょっと、肌色の部分にざらつきがあるのがわかります。
スキャンしてみた結果、以下の様な感じになっています。

CANON iRC2550C / Photoshop CS5

CANON iRC2550C / Photoshop CS5

ちなみに元のデータを探して見つけたので、データの方を見てみるとこんな感じです。

Photoshop CS5 トリミング

Photoshop CS5 トリミング

元のデータはCMYKだったので、パッと見の色再現性は比較的良好だとは思いますが、肌の部分を見るとシアンとブラックが入っているような感じがします。
元のデータを見ると、CチャンネルとKチャンネルの該当部分は真っ白です。マゼンタとイエローの混色でこの色は出ないはずなので、当時の印字結果が実際にこうだったかちょっと思い出せません。もしかしたらこれは経年による劣化なのかもしれませんが、プリントの白の部分には特に何も入っていないので、今となっては何とも言えませんが…。

実は過去原稿を整理する上で、カラーデータが紛失したり破損したりしている可能性もあるので、その場合こういうプリントアウト原稿をスキャンする必要があるだろうなと思って確認してみたら、当時すごく綺麗だと思っていた3Mレインボーのプリントが、思ったよりも悪いことにちょっと驚いているのです。

これはまさにデジタル技術の進歩の賜物なのかもしれませんね。

当時(1990年代)のインクジェットは、ドットがはっきり判るくらい荒かったので、昇華型のスムーズなグラデーションや淡い色の再現性は願ってもないものでした。
でも今のインクジェットプリンタは完全版下としても十分通用するくらいの高いクオリティになっています。場合によってはプロセスカラーのCMYKでは表現不可能な色も、特色インクを加える事で再現出来るようになっています。如何にRGBカラーの写真を忠実に印字するかを追求して得られた、このクオリティの高さは目を見張るものがあって、改めて驚きます。
ちなみに今使っているインクジェットプリンタはCANONのiP4830でCMYK+Kの五色です。

これから少しずつ原稿のスキャンを行ってアーカイブ化していこうと思っていますが、その際に過去のデータを引っ張りだす作業も徐々に行う予定です。
心配なのは、無事にファイルが開くのかどうかです。

今回のデータも、実はMacで作成してJAZドライブに保存していたものを、約十年程前にサルベージしてCD-Rに焼いたデータから拾い出しました。
もしCS-RをHFSで焼いていたら、Windowsで開けないかもと思ってましたが、幸にしてちゃんとWindowsでも開ける形式で焼いていた様で、ディスクが開けてホッとしてます。

拡張子が付いてなかったのは、まぁご愛嬌ということで(^_^;)。。。

Windows7 Snipping Tool

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