日別アーカイブ: 2015年11月5日

コミティア114「有楽舎工房」G16a~「透視図法」の思い出

11月15日にはコミティア114が開催されます。

毎回「有楽舎工房」で参加しています。
もちろん今回も参加申し込みしてスペース確定しました。

「有楽舎工房」 G16a

コミケは個人サークル「越後屋企画」です。こちらは「ねぐら☆なお」名で自作個人誌を出していますが、「有楽舎工房」では背景素材集を出しています。

私の妻でもあるマンガ家「中村地里」が主に描いている作品が、「ハーレクイン」や「ハーモニー」などのロマンス系なので、必然的に海外を舞台とした「豪邸」や「屋敷」がたくさん登場してきます。
その執筆に伴いストックされた背景を元に加筆修正や再構成を行った背景素材集をカテゴリ毎にまとめています。
おかげさまで多くのプロのマンガ家さんにご好評いただいて感謝しています。

ちょっと個人的なお話をします。

背景を描くのは、実はかなり昔から結構好きな方でした。
こっそり少女漫画誌に投稿していた高校時代の作品も稚拙ながらも背景をきちんと描こうと努力していました。
いつから透視図法で絵を描く事を意識していたかと言うと、ハッキリ覚えているのは中学二年の時の美術の課題でした。
デザイン系の授業が比較的多かったその美術の先生が出したとある課題が「一点透視で描く幾何学空間」でした。その課題がすごく面白くて、夢中になって楽しんで描いたことを今でもハッキリと覚えています。

既にその頃からマンガは描いていました。どちらかと言えば「イラスト」の方が多く、まだちゃんとした作品はまともに完成させたことはありませんでしたが、絵を描くのはすごく好きでした。だからでしょうか、どのような形で覚えたのかは忘れていますが、無意識に「透視図法」というのを意識していたのは確かです。

「透視図法」といえば、もしかしたら自分の記憶の中にあるのは「はじめ人間ギャートルズ」のタイトルのアレかも知れません。ぎゃーギャートルズ文字とでも言えばいいのか、アレが好きで文字の立体化をよく描いていました。
「はじめ人間ギャートルズ」は1974からの放送なので、自分が小学校の頃です。
記憶は曖昧ですが、園山俊二先生のマンガの方は「はじめ人間ゴン」を先に読んでいたような気がします。ちなみに小学校の頃はいわゆる「学習雑誌」系のマンガも好きでよく読んでました。

「ギャートルズ」が根っこにあるというわけではありませんが、「透視図法」はわりと自然に意識していた様です。意識していたから正しく描けるというわけではなかったですが、中高の頃の方が理論に凝り固まってしまった今よりも自然な背景を描けていたかもしれないな、と思うことはあります。

自分が意識して透視図法をきっちりと理解しようと勉強したのは、実は学校で教えるようになってからです。プロになってからの作品で描いた背景は大体は描けている方だとは思いますが、完全独学なので理論の麺では間違っているところや勘違いしているところも多くありました。自分がきっちり「透視図法」を勉強した最初の題材は「建築パース」だったので、マンガの背景としてそれが正しいとは言い切れませんが、理論をベースに考えるという点ではとても役に立ちました。


いろいろな本を読みましたが、是非とも抑えておくべきだと思う筆頭の本は、「デヴィッドチェルシー著:パース!マンガでわかる遠近法」です。

著者のデヴィッドと頭がマグカップの形のマグがマンガでパースの世界を説明しているという、既に定番の本なので今更説明は不要でしょう。

これを読む前に「建築パース」関係の本を読んでいたんですが、よく分かっていなかった事もそれなりにあったけど、これを読んで色々とすんなりと入ってきたので、今でも時々読みなおして再確認するようにしています。

後日発刊された「パース!2 マンガでわかるもっとディープな遠近法」も面白い本です。

実際に自分で描く上で参考になる部分はもしかしたら少ないかもしれませんが、知識として知っておくことで応用力が増すんじゃないかというかなりディープなパースの世界が描かれています。

ここまで描けるようになったら無敵だろうな…ってのが素直な感想。パースの世界はまだまだ奥が深いなぁと気が遠くなる思いがしました(^_^;)。

ある程度パースが判るようになってきたら、透視図法は一見正しいように見えて、平面上に描こうとすると必ず矛盾が生じてしまう理論だということに気付きます。
それゆえに「なんちゃってパース」の方が自然に感じるということが、なかなか難しい点だったりしますね。

マンガの絵の「パース」をカメラの「画角」という視点で捉えることが出来るようになれば結構捗るかも、と思うようになってから、割となんとかなるようになった気がします。

20151105-01こんな話を書こうと思ったのは、ちょうど今「修正」をしている背景画が、まさにカメラの「超広角」故に、描いていなかった部分の加筆に苦労しているからだったりします(^_^;)。

最初は明らかなミス部分があったので、それを修正しようと思って始めたんですが、どうせなら描いていなかった所ももう少し書き加えようと思ったのが運の尽き…。その部分が画角的にどうしても不自然な歪が出る部分なので、ここは無くてもいいかな、と思いつつも描くだけ描いておこうかなという気持ちにとらわれてしまったから…。

描いてもあまり使い手があるとは思えないのになぁ…と思いながら…元のミスを恨めしく思いながら…という妙な気分で描いていますwww

なんというか、まぁ、難しいですね…パースってのは…。でも面白いんですよこれが。