各種開発を行っている会社の多くは、自社の開発した新しい技術を守るために、特許・実用新案として出願・登録しています。
株式会社セルシスは、自社の「知的財産」の特許を多く出願しているようです。
(持っているようです、と記載していましたが、出願中の物も多いので変更しました)
開発当初の頃に、セルシスの方から特許出願したという話を聞いたことがありました。(発売前の開発段階の時の話です。)
そこで、「経産省 特許庁」のページから「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」へ行くと、特許を検索することができるので、セルシスの持っている特許を調べてみました。
「筆頭出願人:株式会社セルシス」で「公開特許公報」に限定して検索した所、32件ヒットしました。
(検索「種別」を変えると検索結果数が変わります。)
追記:自分の知識不足による勘違いでしたが、「特許公報」には二種類あって、「公開特許公報」に掲載されるのは、「公開特許公報」に記載されるのは、特許出願後1年6ヶ月経過して発行されるものだそうです。
公開特許公報には、特許権を得る前の発明が掲載されていることになり、いわゆる「出願中」のようですね。「特許公報」は、設定登録になって特許権が発生して発行されるもので、こちらには特許権を取得したものが記載されます
アニメーション製作アプリケーションのRETASや電子書籍ビューアソリューション関係の特許を除き、おそらくコミスタやクリスタに関連すると思われる特許をピックアップしてみます。
- 特開2003-256865
「立体オブジェクトデータからの漫画的表現の2次元画像の生成方法および生成プログラム」
これは3DLTのトゥーンレンダリング技術みたいです - 特開2004-342002
「マンガ用枠線描画装置と電子的記憶媒体」
これは説明図で分かった。枠線定規・コマ枠レイヤ・枠線定規カット・コマフォルダ分割ですね。 - 特開2005-031818
「マンガの線画像成形方法、装置およびコンピュータプログラム」
画像からトーン・ベタ・線画を抽出する技術。2DLT処理やラスベク変換の技術にも関わっているのかも。 - 特開2009-116509
「マンガのページ画像とコマ画像の照合方法及びプログラム」
特許独特の言い回しなのでわかりにくいけど、なんとなく…ページが持つコマの情報とコマが持つ情報を照らしあわせて、正しく表示する方法かな? - 特開2009-141572
「マンガのコマ画像のためのマスク画像の作成方法及びプログラム」
マスクに関する技術。コマフォルダが持つマスクとマスキングレイヤーの技術の様です。 - 特開2010-009277
「線画のための彩色方法及びプログラム」
図式されているのでわかりやすかった。塗りつぶし・閉領域フィルと、細いところへの染み込みや隙間を閉じるの技術ですね。 - 特開2010-020458
「線画の彩色方法及びプログラム」
イラスタ・クリスタのペン・ブラシの参照レイヤーの線からはみ出さない機能ですね。ホントありがたい! - 特開2010-165058
「グラデーション作成方法、プログラムおよび装置」
これはイラスタに搭載されていて最近クリスタにも搭載された「等高線塗り」。これは画期的な機能でした。 - 特開2011-221940
「画像作成編集ツールのプレビュー方法およびプログラム」
描画ツールのストロークを記憶して、ツール属性を変更したらそれをプレビューする機能。これはもしかしてまだ搭載されていない?自分が気づいていないだけなのかな? - 特開2012-089081
「画像の描画装置、方法、及びプログラム」
ペンやパターンブラシで描いた端や鋭角部の形状をペン先の形状に応じて補正する機能。折り返した鋭角部の線を尖らせる機能はこの特許の様です。 - 特開2012-164161
「オブジェクト修正処理装置、方法及びプログラム」
特許内の画像を見ると、POSE STUDIOやクリスタの「ハンドセットアップ」です。これは直感的で面白い機能です。
ここから下は3Dモデル関係なので、PAINTというよりも、MODELERやACTION、QUMARIONに関する特許じゃないかと思います。
- 特開2012-164162
「骨格の角度制御方法,装置,及びプログラム」 - 特開2012-164163
「骨格モデルの捻りの制御装置,方法及びプログラム」 - 特開2012-164221
「骨格モデルの関節角度の曲がりにくさの制御装置,方法,及びプログラム」 - 特開2013-020446
「マルチポインティングデバイスの制御方法及びプログラム」 - 特開2013-120395
「スケルトンモデルの姿勢制御方法,及びプログラム」 - 特開2014-002677
「描画方法、プログラム、及び装置」 - 特開2014-002678
「オブジェクト表示方法、プログラム、及び装置」 - 特開2014-149748
「三次元オブジェクトの多視点描画装置、方法、及びプログラム」 - 特開2014-149749
「三次元オブジェクトの誇張描画装置、方法、及びプログラム」
ここに記載しなかった特許でも、クリスタに応用されているものはあると思いますが、さすがに開発者じゃないのでわかりません。それと、よくわからない部分も多いので解釈が全く的外れの可能性も、きっとあるでしょう…
それにしても特許の「請求項」の文面、独特の言い回しで結構難しいです(^_^;)。
なお、各特許へのリンクは「データ収集を目的とした、文献の直接指定」を禁止しているので出来ませんでした。
もし興味のある方は、「特許・実用新案番号紹介」で「公開・講評特許公報」で上の番号を入れるか、「特許・実用新案テキスト検索」で「出願人/権利者」を「株式会社セルシス」にして検索してみてください。
こういうことをきちんとやっておくかどうかは後々重要になってくるんでしょうね。
ちなみに、昔話題になった筑井茂男という人が平成8年に出願し10年に公開された 「コンピューターを用いた漫画の製作方法及びその方法で作られた漫画をモニター画面で見る方法」の特許ですが、どうやらセルシスが動いて「審査」している様です。
「審査書類情報」が時間外だったので現時点では確認できませんでしたが…。
閲覧できるようになったら、後で確認してみます。