なかなか難しいレジュメ…

2016年度の専門学校の授業のレジュメを組んでいます。
授業が始まる前にある程度詰めておく様にしているんだけど、机上ではなんとでもなるんです…でも実際に現場では思った通りに進まなくて苦労します…。

私が担当しているのは、デジタル作画・デジタル漫画で、元々はComicStudioを教えられる人ということではじめました。昨年度から本格的にCLIP STUDIO PAINTへ移行する段階へと進んだので、今年度からは完全にCLIP STUDIO PAINTを軸足として授業をすすめることとなります。これからデジタルでマンガを描く事をスタートする人たちにとってはCLIP STUDIO PAINTを覚えていくのがベストだと思います。

一方デファクト・スタンダードだったComicStudioですが、これから始める人が今から覚えて役に立つのはかなり限られた条件下だけになります。
限られた条件は言うまでもなく「現在もComicStudioメインで仕事をしているマンガ家」のアシスタントをする時のみでしょう。

ComicStudioデータをCLIP STUDIO PAINTで開くことは出来ますが、CLIP STUDIO PAINTデータをComicStudioに持っていくことは、Photoshop形式を経由するしか手がありません。Photoshop形式を経由すれば、当然ComicStudioやCLIP STUDIO PAINT独自の機能は互換性が無いので通用しません。例えばベクターレイヤーや定規レイヤー、テキスト&吹き出しレイヤーなど、結構多くの独自機能は無視されるか「ラスタライズ」された状態として返還される形となります。つまり、CLIP STUDIO PAINTからComicStudioに持っていく時のファイルの互換性にはかなり限定的な条件がついてしまいます。

東美の方には、デジタルアシスタントに対応することを前提としたトレーニングの授業が組まれています。
その授業の中で「ComicStudio使いの先生のところでデジアシをする必要が出た時の対処方法」をある程度組み込んでおいたほうが良いだろうと、レジュメ上には記載していますが、実際具体的にどうすれば良いのかはまだ理想的な解答は出せていません。
実際にそういう現場は数多くあると思いますが、おそらくその現場ごとにやり方が異なっているんじゃないかと想像できます。デジアシとして作業の一端を担う事になった場合、CLIP STUDIO PAINTだけでなくComicStudioを使った経験があるならばおそらくさほど問題はありませんが、ComicStudio経験のない場合はかなり戸惑うんじゃないかと想像できます。
そういう現場での戸惑いを避けるために、ComicStudioでも作業できるように、最低限のことを覚えさせておいたほうが良いのかもしれませんが、マンガ家さん毎に手法や対処法が違うと思うので、最初から「こういう方法を覚えておけばOK!」と限定してしまうのは、ちょっと危険かもしれませんね。

CLIP STUDIO PAINTにしてもComicStudioにしても、一つの結果に至るための手順は複数用意されています。どの手順をとっても最終的に原稿として仕上がればいいのは確かですが、実際のところはそのマンガ家にとってベストの方法が他のマンガ家にとってベストの方法とは限りません。
自分でマンガを描く場合は、まさに自分にとって一番良いと思う方法を取れば良いんですが、アシとして入る場合は必ずしもそれでいいとは言い切れません。

「これさえ覚えておけば大丈夫!」と言い切れるものはさほど多くは無いので、教えるってことほんと難しいです。勉強です…ホントに…。

 


コメントを残す