漫画的デフォルメで、窓などのガラス面や鏡面に斜線を入れる表現方法があります。
実際のガラス面や鏡面上では、あの様な見え方はしないんですが、デフォルメ表現ではなぜあのような斜線を入れるんでしょうか?そしてそれを見た自分たちはあれをガラス面・鏡面だと思って見てるんでしょうか?
これは推測レベルなんですが、二点透視図法で窓枠とガラス面を取った時に、その面に対して垂直に交わっている天井や壁の線が図のように入っている状態を、デフォルメ表現したのじゃないでしょうか?…というのはともかく、この窓ガラスなどの表現をする時によく使われているトーンの一つが、ICスクリーンのS-3011です。
アイシースクリーン S-3011
(トーンのパターンは ICに著作権があるので、上の画像はAmazonのアフィリエイトリンクを使っています。)
アイシー株式会社さんに以前直接質問をした時に、「購入者本人がスキャニングして自分の作品の中で使用する場合は同人・商用含めて特に問題はない。」との見解を頂きました。
なおこの一連のやりとりはTogetterでまとめておりますので、よろしければご参照下さい。
【トーンのデジタル化】アイシー株式会社様よりの回答まとめ
そこで、このS-3011も、スキャンして使っていましたが、600dpi相当の解像度でスキャンしたとしても、他のデジタルトーンと合わせるとモアレがほぼ確実に出ますし、拡大縮小すれば当然線数も変わってしまいます。
さすがに自在性に欠けるということで、奥さんからICスクリーンのS-3011風のトーン作れないかというリクエストがあったので、試しに作ってみました。
Photoshopで横長の矩形を細かく取り、グラデーションツールで両側が白に抜けているパターンを描画していきます。
時々一列選択ツールを使い、シャープな流線が入っているような効果も入れています。
描きあがったらそのレイヤーを45度回転させました。こんな感じです。(これはわかりやすいようにグレー部分に色を付けて部分的にトリミングしたものです。)
レイヤーを複製して、フィルタのスクロールを使って移動させて、画像の上下が繋がるような処理を施して、シームレスパターンにします。シームレスにしておいたほうが、使用するときに範囲の制約が少なくて済むからです。
この画像をComicStudioの「素材」パレット上で「新規トーン」コマンドから読み込んで登録します。
グレースケールの画像から作っているので、上のパラメータの「倍率」を変えたり「明るさ」を変えたり出来ますし、線数も変えられるので他の網点トーンとの重ねもモアレなしで貼ることが出来ます。
これでスキャントーンよりかなり自在性が増しました。
使用例(有楽舎工房の素材集「豪邸」から)
トーンの表現色を「白」にすれば、窓の外が夜景の時でも使えるかもしれません。
奥さんがComicStudio遣いなので今回はComicStudioトーンにしていますが、CLIP STUDIO PAINT上でも画像を読み込んだら同じように使えます。
デジタルでのマンガ製作で便利な点の一つは、こういう風に自分の欲しいトーンを作れるってことにあります。ComicStudioやCLIP STUDIO PAINT用なら、CLIPを通してシェアすることも可能なのも魅力の一つですね。
このトーンはまだ改良の余地があるので、現段階ではまだシェアはしませんが、いずれはCLIPにUPしてみようと思っています。
なお、上のパターンファイルは、制作した画像を縮小して載せていますので、ダウンロードしてトーン化しようとしてもあまり綺麗にならないと思いますし、シームレス部分も不自然になってしまうんじゃないかと思います。
現時点では正式に公開はしておりませんので、ダウンロードして使用することはご遠慮くださいね。