今年から国勢調査がインターネットで回答できるようになったということで、調査員による利用案内封筒の扱いの酷さが話題になっていました。
Twitterでも、ずさんな「投函」の実例が報告されていたことが話題に登りました。
このような集合住宅の実例だけでなく、一戸建てでもポストにキチンと入れずに半端に露出した状態で投函されています。実は我が家でもそうでした。
私が学校に行ってて奥さんが原稿でキリキリ舞いの最中に調査員の一回目の訪問があったようです。ちょうど奥さんは単行本カラーの締め切り日で、最後の調整で一刻の猶予もない状態でした。調査員は説明させて下さい、とのことでしたが、そういう状態だったので後日お願いしますと帰っていただいたそうです。
その時には「利用案内」は投函されておらず、その後二回目の訪問が行われた時に投函されていました。その時に奥さんは休んでいたんでしょうか、応対はしておりません。
少なくとも調査員は二回我が家にやってきたことになります。平日の日中に家をあけている世帯はおそらく多いことでしょう。となると調査員は数日かけて訪問を続けていたことになります。
インターネットでの回答期限は20日までだそうで、最終日に集中してアクセス不備が出てもヤなので、19日に忘れないように回答しておきました。
五年に一回の国勢調査ですが、前回マークシートのようなものだったように記憶しています。インターネット回答でも回答項目数はそれほど多くはなくて、テキストで入力するのは名前・職業・住所位ですか。あっという間に完了です。たしかにこれは楽ですね。
さて、気になるのは「調査員」の事。少なくとも我が家には二回来ました。他のところではどうか解りませんが、少なくとも今回は最初から「インターネットでの回答のお願い」を配布しているようなので、調査員がすることは、IDとpassが入った封筒(開封されたまま)を渡すことです。
当然無償ではなく、一件あたり500円の報酬が出るそうです。複数宅を複数巡回する事になるので、相応の労力がかかるので報酬が出るのは当たり前だとは思いますが、本当に一戸一戸回る意味はあるんでしょうか?国勢調査の意味を説明したり、提出を拒む人を説得したりする事もこの業務に含まれるそうですが、その単価からすると、かかる人件費が相当膨大ではないかと思って、単純計算してみました。
平成22年の一般世帯数は51,842,000世帯。
→総務省統計局・日本の統計・第2章 人口・世帯[2-9 家族類型別一般世帯数(エクセル:28KB)]より
ってことは、一世帯500円なので、報酬だけで25,921,000,000円…259億円ということになります。
(50世帯で4万5000円という記述もありましたので、そう見積もるともっと増えてしまいます。単純計算で46,657,800,000円…なんと467億円になってしまいます!)
新国立競技場の当初の建築費の10分の1位ですが、やっぱり相当かかっていますね。
もっと効率的に安く出来ないものでしょうか?
結構重要な通知でも普通に郵便使って行われているので、信書を扱える郵便が一番安価で信頼できるという前提で、世帯ごとに通知を出せばいいようにも思うんだけど…。
確かに全世帯というのは日本国民の世帯だけではなく在日外国人の方の世帯も含めてだから、これから交付されるマイナンバーを使うというのは不完全ということになるし、そうなると正確な「国勢調査」にはならないんでしょうね。
いずれにせよ、現状の訪問型が完璧だとはとても思えません。
まぁ国民の権利でも有る選挙でさえ半数前後の人しか行使しないとなると、全世帯の調査を完璧に行うのはそりゃ「人の手」を使わないと難しいのかもしれません。
だったら、郵便等で通知してインターネットで回答を前提として、それでも回答がない場合は訪問するというふうにすればいいように思ってしまいます。
素人の浅はかな考えかもしれませんが、少なくともあんなずさんな「投函」をするくらいなら、遥かに最初は郵送で行ったほうが安全じゃないかと思うんですけどねぇ…。
基幹統計調査
国勢調査などの基幹統計調査は、公的統計の中核となる基幹統計を作成するための特に重要な統計調査であり、正確な統計を作成する必要性が特に高いことなどを踏まえ、例えば以下のような、一般統計調査にはない特別な規定が定められています。
- 報告義務
基幹統計調査に対する正確な報告を法的に確保するため、基幹統計調査の報告(回答)を求められた者が、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすることを禁止しており(第13条)、これらに違反した者に対して、50万円以下の罰金が定められています(第61条)。
…ということで、「個人情報保護」との兼ね合いもあって、答えたくない、答えるつもりはない、と突っぱねる人も多いともいます。それらの事も相まって、調査は大変そうです。
「調査員」から漏れることだと思っている人もいるようです。もちろん守秘義務が課せられていますが、調査員の資格はそれほど厳しいものではなく、ごくごく普通の人なら誰でもなれるそうです。
インターネットでの情報漏えいに対する不安も拭えないのは事実ですが、そのリスクは調査員による回収や郵送でもないわけではないので、もう信用するしかないですね。だからこそ、配布時のずさんなやり方を見ると心配になってしまうんですけど……
マイナンバー制度導入等でいろいろな情報がひも付けされてしまったら、将来的に国勢調査の形も変わっていくかもしれませんね。
でもあまり一元管理されてしまうとセキュリティ突破された時の被害が甚大なので、ホント運用はしっかりしてほしいものです。