「漫画家に無断で作品を掲載」したとしてリブレ出版が謝罪・担当編集を懲戒解雇したというニュース、本来あってはならないことなのは言うまでもありませんが、この事件、件の担当編集が何を思って何のために誰のためにそんなことをしたのか、真意が全く理解できません。
本が出版されたら当然作家が知ることとなるのは当たり前だし、そうなったら自分が責任を取らなければならないことは明白、出版社も大きな損害を被り、自分も信用を無くして解雇されるのは必至。本が出版されなくなったり回収されたら、同じ本に載る予定だった他の作家さんも被害を被るし、本の発売を楽しみにしていたファンを落胆することになります。
編集部が仔細に発表した経緯を見ても、誰ひとりとして「得する」ことがないのは明白なのに、なぜそんなことをやったのか、理解に苦しみます。
この事件でふと思い出したのが、自分が関わったとある本の廃刊に伴う事件です。
フォースカンパニー刊・「COMICランゲット」という本でした。
『コミックランゲット』(Ranget)は、フォースカンパニーが発行・文苑堂東京店が販売したコミックアンソロジー。2003年6月25日に創刊。当初は同年8月に第2号を発行する予定であったが、創刊号の極度の売上不振のためそのまま休刊した。創刊号の掲載作品を執筆した作家のS・H(しばたひでき)は、休刊の顛末について自身のブログでコメントしている。
Wikipediaに記載されている説明はすごく簡潔なものですが、解決に至るまでは色々とありました。
今日Twitterでつぶやいた内容を引用します。
作家にも出版社にも美味しいことを言いまくって大変なことになった「ランゲット事件」を思い出した。関係者の一人です。 > 漫画家に無断で作品を掲載 リブレ出版が謝罪 担当編集者を懲戒解雇に – ねとらぼ http://t.co/cMSucAwRBD
— ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
コミックランゲット…「一般向け」が発刊されてすぐに休刊となったけど、実は「成年向け」版も出る予定だった。そちらに寄稿していた作家も結構いて、なかには数話分入稿済みの人もいた。自分は前後編の前編がUPしていた段階だったなぁ。 — ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
自分は休刊が発覚して、原稿料の件などを含めて、担当編集じゃなく直接社長さんと一対一で話す機会を作った。そこで始めて担当編集の作家に対する説明と社長さんに対する説明が食い違っていることが発覚。事態を深刻に受け止めてくれた社長さんが作家説明会を開いてくれることとなったのでした。
— ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
もうかなり前のことになるから仔細は結構忘れているけど、編集は数号分発行は決定していると言って前倒しで原稿を依頼していて、結構な数の原稿が集まっていたことと、会社側(出版業は事実上初めて)には「本が出版されなかったら原稿料は払わなくてもいい」と説明していたから厄介なことになった。 — ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
作家説明会当日って、確か台風だったっけな。池袋で開催された中、結構な数の作家さんが集まった。同人誌即売会で件の編集が声をかけた人も多くて、泣き寝入り状態だった人も多かったようだ。会社側は真摯に対応してくださって、稿料は数回に分けて支払われることとなった。
— ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
「ランゲット」事件は「ランゲット」以外に「本にさえならなかった幻の雑誌」がもう一冊あって、そちらも含めてかなりの数の作家さんと宙に浮いた原稿が発生していて、合計数百ページ分の「未掲載分の原稿」があったとの話。ま — ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
あの頃の2chのログと自分が用意した掲示板のログがどこかに残っているかな?残していたかどうかも忘れている(^_^;)。かなり前だと思ってたけど、2003年だから今から12年前か…。
— ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
Wikipediaの「COMICランゲット」の項目。https://t.co/hjPLe062Dc 細かい顛末がまとめられているところはないけど、脚注リンクさきにあるS・H氏(しばたひでき氏)の休刊顛末記が大まかな結果報告になっています。 — ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
時系列に沿った仔細なやり取りは、年数も経っていることもあり、曖昧な記憶のみで書くのは止しておきます。
件の編集者は、編集経験者では無く「マンガ家さんに顔が広い(と自分では思い込んでいる)マンガファン」でした。自分の認識としては、「コミケでいつも買いに来てくれるファンの一人」だったのです。
そういう立場の人が「自分が好きな作家を集めて本を作りたい」と思い、夢を見てしまい、大風呂敷を広げてしまった結果……という顛末でした。
因みに、これがそのcomicランゲットです。 pic.twitter.com/j3YYQB7DBl
— ねぐら☆なお (@neguranao) 2015, 10月 14
過去データ探したら、記録ログが見つかるかもしれません。
もし見つかったら改めてまとめるかもしれませんが、残っているかさえ確証がないので、あまり期待はしないでくださいね(^_^;)。