漫画」カテゴリーアーカイブ

一段落

今日で、受け持っている専門学校の二年生の授業が終わりました。学生さん達にとっては今週いっぱいです。

専門学校で教鞭をとるようになってもう10年近く経ちますが、ここ数年の漫画を取り巻く環境の変化は目覚ましいと感じます。

数年前はWebでマンガを発表する方法は、自分でホームページ作るかブログ作るかあるいはpixivなどのサイトを使うか…って感じでしたが、この一年で一気に増えたのが投稿型のWebコミックサイトです。
代表的なのはマンガボックスインディーズCOMICOチャレンジニコニコ静画(マンガ)などでしょうか。それぞれかなり多くの潜在的な読者数を誇っているのではないかと思われます。

学生さん達がこれらのサイトに投稿したあとの閲覧数や反応の変化を見ていると、すごくリアルタイムで変化することにちょっとした感動を覚えました。
当たり前のことですが、このネットワークの向こうに、正にこれを見ている誰かが存在しているという事実に、学生さん達も素直に感動を覚えてくれたようです。
今まで学生相互・講師である漫画家さん達・編集部批評会などで来校してくださる出版編集者さんくらいしか、自分の漫画を読んでもらったことがない学生ばかりです。見ず知らずの人が読んでくれる…。批判されたり遊ばれたりするようなコメントもあるけど、率直な感想をストレートにくれる「読者」がいる…。そういう事をリアルに感じて「人に見てもらう」という事の喜びを感じてくれたようでした。

漫画家デビューを目指して専門学校に行くのは意味が無い、そんなことよりもどんどん漫画描いて持込投稿すりゃいい、などという人がいます。
もちろん漫画を描かなければ漫画家に慣れるわけがないのはあたりまえのことなので大前提ですが、専門学校で得られる事は、なんといっても「場」と「仲間」と「好敵手」だと思っています。
実際専門学校で学んでプロ漫画家になった人も今の時代ではかなり多くいるのは紛れも無い事実です。また京都精華大学の様に漫画を一つの学問として多角的に取り組み、そこから漫画家だけでなく編集者や出版社などの、漫画に係る仕事に携わるような人材を育成する場が増えているのも確かです。
専門学校や大学でプロ漫画家を目指して効率よく体系的に漫画を学習することが出来る場の需要があるというのも事実です。
やる気がある人ならば、それらの場所で「漫画を学ぶ」事は、漫画家になりたいと思っている人にとっては確実にプラスになります。多くのプロ漫画による指導を上手く吸収して自分のスキルアップに精進するならば、一人で描いているよりもより多くの物を吸収して形に(漫画作品に)する事が出来るようになります。

「学校」という場では、必然的に「成績」という評価を付けなければいけなくなります。芸術系の学問全般にある程度言えることだと思いますが、専門学校などの漫画の教育現場に於いて、漫画を描く作業に点数(成績)を付けるという事に疑問を感じる人がいるのは否めません。確かに「漫画」に対して客観的な点数は付けることは困難だと言えます。その点数も、安易に付けられるものではなく、単に上手い下手かでは決められません。
自分の場合は、結構機械的に「取り組みか方」「理解度」「習熟度」を計って点数を決めています。でもやっぱりいつも苦労してしまいます。

二年間という長いようで短い時間を過ごした学生さん達が、卒業してからも漫画を描き続けてくれたら嬉しい限りです。もちろん、実際に誰かデビューしてくれたら文句なしです。。。

さて、今年の卒業生はどうかな…?

 

 

おっと、一年生の授業はまだ残っているのさ。午後からの授業になるので、少し楽になります。

このスキに、自分も投稿作品描かなきゃ。。。。

—–(推敲しました)—–睡魔で朦朧としている時に書いた文だったため、随所で変なところがあったので、少し描き直しました。

色紙は苦手です

コミケなどの同人誌即売会で、たまにサインをお願いされる時があります。
いつも買いに来てくださる常連さんが、毎回スケッチブックを持ってきてお願いされることもあります。その時はスケブをめくって過去のサインを発見して「うわぁ~ん!。・゚・(ノ∀`)・゚・。」となることもあったりします(^_^;)。。。

でも、サインといえばやっぱり「色紙」が一般的でしょう。

色紙はもともとは短冊などと同じように書画用のものなので、一般的には表面は和紙が使われています。墨や水墨で文字や絵を描くものなので、漫画家のサインにはあまり向いていません。ペンは使えませんし、マジックはにじみが酷いです。鉛筆で下描きを描いてあとで消すということもちょっと困難です。サイン用に色紙を持ってきてくださる方の中には、この和紙の色紙の方も案外多くて、ちょっと悩ましい時があります。墨筆で一発描き~なんて恐ろしいことが出来るほど能力はないので、鉛筆画担ってしまうことも多いです。

スケッチブックが水彩画用紙だった場合は、鉛筆で下絵描いた後にマーカーで主線を引き、コピックで簡単に彩色をすることが出来ます。昔はイベントにもガッツリとコピック持って行ってた時期もあって、できるだけ色を入れていましたが、最近はあまりコピックを持って行かないので、結果的に和紙の色紙と同様に鉛筆画になってしまうことも多いです。

話し戻って、「色紙」の話。

実は専門学校で教鞭をとることになった時に、教室に飾る色紙を頼まれたことがありました。既に同僚の先生方の色紙が飾ってあってので、これは気合入れて描かねばと思って、頑張って描きました。
それでもさすがに何年も飾られているのを目にするのはちょっとした拷問です(笑)。描き直させてくれ~ってなっちゃうことも…

そんな折、昨年の頭(今年度2014年度の頭)に、色紙の衣替えをしたいとのことで、改めて依頼されたのです。よし今度こそもっとしっかりと…と思って頑張った結果は以下の通りです。

EPSON ES-7000H / PhotoshopCS5 補正

EPSON ES-7000H / PhotoshopCS5 補正

右上・左上に文字を入れていましたが消しています。紙の色合いが若干残っているので、そのままの色調にしています。

この彩色は、デジタル化にしたことで、従来の画材の多くを処分した中、手元に残しておきたいと思って今も時々使っているカラー画材の一つ「ペンてる Aquash」です。

これはクレヨンのように棒状の水彩顔料を、水彩色鉛筆のような感じで色を紙に乗せ、筆ペンのような形状の「水筆」を使って、伸ばしていくという使い方をする画材です。
この「水筆」は、持ち手の部分に「水」を入れて使います。持ち手をちゅ~っと押すと、筆先が水で潤うので、紙の上に色を載せていない水筆で水を伸ばして、その上に水筆の先に絵の具をつけてウエットインウエットの要領で色を伸ばしていくという感じで使います。

染料でなく顔料なので、和紙の上でも色を乗せやすくてぼかしも可能なので、和紙の色紙のカラーはもっぱらこれを使っています。

昔はカラーイラストは主にカラーインクを使っていました。使用していたのはホルベインの耐水性カラーインクと水性のルマカラーです。それ以外にも水彩色鉛筆や透明水彩絵の具やパステルなども使っていましたが、デジタルに完全移行してからは、それらのカラー画材は使用頻度が極端に減ってしまい、カラーインクなどは変質して色が悪くなってしまうので、結局人に譲りました。

デジタルで描くようになったとは言え、たまにアナログでカラー描きたくなります。そういう時にはお手軽べんりなアクアッシュが重宝しています。
ちなみにコピックも持っているんですけど、色数が少なくて本格的な活用はやってません。

苦手とは言え、せめて色紙だけでもアナログ絵で描いていないと、描き方忘れてしまいそうでちょっと怖いです。いくらデジタル化が進んだとはいえ、実際手でやっていることはアナログなんですよね。原点に戻って肉筆で描く事を忘れないようにするのも重要だと思っています。aこれは仙台の系列校用の色紙です。スキャンじゃなくて、携帯で撮影した小さい画像しか手元に残っていなくて残念。

今日もクリスタ落描き

作業しながらふとVMWareにWindows10入れてみようかと思って評価版をダウンロード。
容量が大きいのでダウンロードに時間がかかってるその間に、ちょっと落書きモード。

フルハイビジョンサイズ(横1920px×縦1080)のキャンバスを用意して、最初は何も考えずに描き始めましたが、この横長のフレームって本当に難しい。
最近はアニメーションもこの比率で作成されているので、視覚的には見慣れているはずなのに、いざ描いていると、思ったよりも構図が取りにくい。マンガのコマは比較的横長で構成することが多いけど、紙のサイズの縦横と同じ比率4:3くらいコマが多いように思います。自ずとそういう構成になりやすいからなのかもしれませんが…。
でもこういう比率だと最初からわかっているんだから、まず構図を決めて描くべきだったのに、ノープランで描き始めてしまったため、バストアップで左右にぽっかり空間の空いた絵になっていました。

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

なんかギャルゲかエロゲの立ち絵っぽくなってきたので、そういう絵にしてみようかと思ったけど、作りこみするほどの絵じゃないので、単純にキャンバス90°回展して縦構成のロング絵に変更。

ざくざく描いたラフに対して、ろくに主線のクリーンナップもせずに塗り始めてしまって、なんとなくキャラ絵は完成。

CLIP STUDIO PAINT EX

CLIP STUDIO PAINT EX

本当にノープラン過ぎて、このままじゃあまりにも寂しいので、CLIP STUDIO PAINTに最初から入っていた背景素材の上に乗せてみたら…

CLIP STUDIO PAINT EX

CLIP STUDIO PAINT EX

キャンバスを縦に変えても、結局ギャルゲかエロゲっぽくなってしまったという(^_^;)

ノープラン落書きでも、もう少しちゃんとした構図の絵を描くように心がけたほうがいいだろうな、という反省をしつつ、恥も顧みずに公開をしてみました。

32年前の原稿

既に数日前にTwitterにUPしたネタですが、1983年10月17日の日付が書いてあるイラストが出てきました。

 

何に使った原稿だったのか思い出せなかったんですが、大学時代のサークルの後輩のI氏から、学漫掲載の原稿だと教えてくれました。

昔の原稿は、確かに改めて見てみると凄まじく恥ずかしいんだけど、さすがに30年モノともなると、結構開き直ってみることが出来ます(^_^;)。
じっくり見返してみると当時の涙ぐましい必死の努力と僅かな成長の跡が見えてくるのも面白いし、時としてなんで気づかないのかなというミスも見つかったり…。BunnyGirl1983-10-17-UP↑あ!ベタの塗り忘れorz

こちらは、1984年03月29日という日付の入ったイラスト。19840329階段のドレス少女-webこれ、センタートンボを入れているので同人誌印刷入稿した可能性があるんだけど…19840329階段のドレス少女-web-UP↑消し忘れとベタ塗り残しが…orz

ううむ…気づいていないとしたら本当に迂闊なミスばかり…(^_^;)。

32年~30年位前は、ほぼこの絵柄で安定してきた頃だと思います。デビュー前後がこの辺り。デビュー後に一度大きな絵柄の不安定期があって、その後自分の中では描き方を大きく変えていきました。
原稿お蔵出ししていると、そういう変遷も思い出してしまいます。順繰りにたどるのは難しいですけど、そういう軌跡も確認してみたいですね。

ボツ原稿の蔵出し

FirstLesson_ABC_thumbnail自分のコミックスで「絶版マンガ図書館」にて公開されている作品…

「ファーストレッスンABC」
初単行本になります。

以前紹介させて頂いていますが、まだJコミ名の時なので、改めてご紹介いたします。

なぜこの単行本に改めて触れたかといいますと、またもや「お蔵出し」シリーズの一環です。
まずは本作の冒頭の1ページをご覧ください。FirstLessonABC_010個人的には見てるのも恥ずかしくなる原稿ですが、記念すべき初連載で初単行本の作品なのでガマンです(^_^;)。

今回出てきた原稿は、このページのボツ原稿です。ペン入れ済みでベタホワイトが入っていない段階の原稿なので、なんでこの段階でボツにしたのかは全く覚えていません。IMGこんな風に描いたもののボツにした原稿は、結構残っています。

中には切り貼りして抜いたボツ側の原稿とか、単行本時に切った張ったの再編集をした時のボツ原稿とか…。
こういうボツ原稿が発生するというのはアナログならではなのかもしれませんね。
そういうボツ原稿も徐々に整理して行こうと思っています。整理と言っても捨てるかどうかはわかりません。実際取っておいてもしょうがないものなんですが、捨てるのも忍びないので結構処遇に困るんですよね…(^_^;)。
取り敢えずはスキャンしてデータ化しておこうと思っていますが、データ化した所で使い道もないのも事実。

いっそある程度まとめてボツ原稿集でも作るってのもありかな(^_^;)。本にするのは無駄だろうけど、電子書籍なら可能かも。

黎明期のデジタルカラー原稿の入稿方法

エロマンガの現場、大休刊号の中でもちょっと話していますが、カラー原稿をデジタルでやるようになった当初、まだいくつかの出版社はデータ入稿に対応していなかったため、プリントアウトしたものを入稿版下にしていました。

デジタルで描いたカラーを版下にするために買ったプリンタは、A3ノビがプリントできるプリンタ…おそらくEPSONのMJ-5000Cだったと思います。1枚プリントするのに凄く時間かかって編集さんを待たせてしまった痛い記憶が…。
更に
は、インクジェット特有のドットが印刷結果にモロに出てかなり汚くて愕然とし痛い記憶も…
でもデータ入稿できない以上、何らかの形でプリントしなきゃいけないので、ある時期から大宮のとある出力センターでプリントアウトをお願いしていました。
そこに置いていたのは、当時憧れだった超高価な昇華型プリンタ、住友スリーエム社製の3Mレインボーでした。

昇華型といえば、当時デジタル絵描きさんの中では定番だったプリンタは、アルプスのマイクロドライシリーズです。私もMD-2000を購入して使っていましたが、プリントアウト出来るのはA4までなので版下には使えません。実際には使えないことはなかったんでしょうけど、原稿サイズB4が基本でしたから…。

話し戻って3Mレインボー。さすがに個人で購入するには敷居がかなり高いプリンタでした。
なにしろ、普及型で200万、汎用型で300万という、それは車の価格ですかってくらい高いものでした。
アルプスのMDシリーズの昇華型プリントは、リボンを往復させる方法なので、プロセスカラーのCMYKのインクリボンをセットする形でしたが、この3Mレインボーは、A3サイズのCMYKのインクシートを使うので、凄くランニングコストが高くて、一枚のプリントアウト出力の価格が3000円でした。インクシートの原価で1500円~2000円位だと伺っていたので、もし個人で導入するにしてもランニングコストが恐ろしく高くて軽々しくプリントアウトなんぞ出来ません(^_^;)。

そんな3Mレインボーでプリントアウトした「版下」が原稿のお蔵出しで出てきました。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

原稿は単行本未収録作品で、ワニマガジン社のエロトピアに連載していたものです。

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

原稿の裏側を見ると、専用用紙の証である「RAINBOW SYSTEM BASE MATERIAL 3M」の地紋があります。
このプリントアウト版下、当時は最高の出力クオリティだと思っていましたが、実際にUPで見てみると…。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

ちょっと、肌色の部分にざらつきがあるのがわかります。
スキャンしてみた結果、以下の様な感じになっています。

CANON iRC2550C / Photoshop CS5

CANON iRC2550C / Photoshop CS5

ちなみに元のデータを探して見つけたので、データの方を見てみるとこんな感じです。

Photoshop CS5 トリミング

Photoshop CS5 トリミング

元のデータはCMYKだったので、パッと見の色再現性は比較的良好だとは思いますが、肌の部分を見るとシアンとブラックが入っているような感じがします。
元のデータを見ると、CチャンネルとKチャンネルの該当部分は真っ白です。マゼンタとイエローの混色でこの色は出ないはずなので、当時の印字結果が実際にこうだったかちょっと思い出せません。もしかしたらこれは経年による劣化なのかもしれませんが、プリントの白の部分には特に何も入っていないので、今となっては何とも言えませんが…。

実は過去原稿を整理する上で、カラーデータが紛失したり破損したりしている可能性もあるので、その場合こういうプリントアウト原稿をスキャンする必要があるだろうなと思って確認してみたら、当時すごく綺麗だと思っていた3Mレインボーのプリントが、思ったよりも悪いことにちょっと驚いているのです。

これはまさにデジタル技術の進歩の賜物なのかもしれませんね。

当時(1990年代)のインクジェットは、ドットがはっきり判るくらい荒かったので、昇華型のスムーズなグラデーションや淡い色の再現性は願ってもないものでした。
でも今のインクジェットプリンタは完全版下としても十分通用するくらいの高いクオリティになっています。場合によってはプロセスカラーのCMYKでは表現不可能な色も、特色インクを加える事で再現出来るようになっています。如何にRGBカラーの写真を忠実に印字するかを追求して得られた、このクオリティの高さは目を見張るものがあって、改めて驚きます。
ちなみに今使っているインクジェットプリンタはCANONのiP4830でCMYK+Kの五色です。

これから少しずつ原稿のスキャンを行ってアーカイブ化していこうと思っていますが、その際に過去のデータを引っ張りだす作業も徐々に行う予定です。
心配なのは、無事にファイルが開くのかどうかです。

今回のデータも、実はMacで作成してJAZドライブに保存していたものを、約十年程前にサルベージしてCD-Rに焼いたデータから拾い出しました。
もしCS-RをHFSで焼いていたら、Windowsで開けないかもと思ってましたが、幸にしてちゃんとWindowsでも開ける形式で焼いていた様で、ディスクが開けてホッとしてます。

拡張子が付いてなかったのは、まぁご愛嬌ということで(^_^;)。。。

Windows7 Snipping Tool

Windows7 Snipping Tool

原稿の管理

長年漫画を描いていると、当然大量の原稿が溜まります。
多くの場合は返却してもらっているのですが、一部未返却の原稿も多くあります。同時にたくさんの出版社で仕事していたり、単発の仕事をしたりしていた時期のモノは、自分自身もよく把握できていないものも多く、改めて手元にある原稿を整理しなければ…と感じています。

単行本化された原稿の多くはだいたい把握できています。多くの原稿は大体手元に戻ってきていますが、ある出版社の原稿のみ未返却のままとなっています。

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

PENTAX MX-1 / PhotoshopCS5 トリミング

その出版社に、単行本化された原稿の返却をお願いした時に、「原稿返却を希望するのなら、単行本は絶版にする」という驚くべき事を言われてしまい、契約の関係もあるためにそのまま保留にしていましたが、そろそろちゃんと交渉してなんとか返却してもらわなければ、と思っています。もう事実上絶版状態になっているので問題はないと思うんですけどね。

単行本化されていない原稿も結構あるので、正しく把握して「絶版マンガ図書館」に「未収録作品集」として出そうかと思っています。連載ものも含めたら単行本で数冊分は確実にありそうなんですが、まとめるにしてもまずは原稿が手元にあるかどうかの確認も必要なので、そのためにも「蔵出し」をしておかなければ、と思っているんです。

古い原稿を引っ張りだして見ると、写植の剥がれや欠損が結構目立ちます。
ペーパーセメントの跡が残って、原稿にシミが付いているものも多く、写植の再確認と貼り直し・補正が必要そうです。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

上の原稿は単行本化されていない作品です。
単行本化のための加筆改稿作業をしていた最中に、例の宮崎事件が発生して出版自重となったため、単行本化がお蔵入りとなった原稿の一部です。思ったよりも欠損が激しいので、掲載雑誌を参照しながら再調整する必要がありそう…。

原稿の補修は生原稿はそのままで、スキャンしてデジタル化して、ComicStudioかCLIP STUDIO PAINTで補正して、それを電子出版化するという手順になると思うので、かなりの手間隙がかかりそうです。今手元に有るB4が取れるスキャナは、EPSONのES-8000というかなり古いもので、USB非搭載のSCSIという前時代のものなんです。
このスキャナはずっと調子が悪くてまともに使えない状態なので、デジタル複合機のCANON iRC2550Fを使うことになりそうです。(思い切り遅いんですよ…これ)
ちなみに普段のちょっとしたスキャン作業はフィルムスキャン用に買ったCanoScan8400Fを使っています。

そういえば、このCANONのデジタル複合機ですが、ちょっと古い機械になります。
二十年くらい前にCANONのリースでコピー機をリースし始めてから、5年のリース期間満了毎に新しい機械に入れ替えていましたが、iRC2550Fは、5年のリース期間を過ぎた後、引き続き新規リース契約を結び継続リースをしています。
新しい機種に変えなかった理由は、「ComicStudioとの相性」と「コピー機内のHDDに保存してあるデータ」の関係だったんですが、ハードとして結構気に入っているというのもあります。リース料金が大幅に安くなったのも嬉しい誤算でした。今はコピー機としてというよりも、カラーレーザープリンタとして活躍してくれています。

最近の機械は、オートシートフィーダーで一気にスキャンして電子書籍化してくれる機能が付いていたりするので、資料用の雑誌等の自炊が楽そうで魅力はあるんですが、月のリース料金考えたら、断裁機とドキュメントスキャナ買ったほうが安くて済みそうなんですよw.
なので、今の機械使い続けることにします。

ちょっと話はずれましたが、手元にある全原稿の電子化を効率的に行うことも視野に入れて整理する必要がありそうですね。

過去の蔵出し(^_^;)

目新しいネタが今のところ無いので、またもや過去の蔵出しをしてみます。

中高の頃は少女漫画家を目指していました。
目指していたと言っても、本機で目指していたと大きな声を出して言えるほど熱心に描いていたとはいえませんが、それでも何度か少女マンガ誌に投稿もしていました。

少女マンガ誌の多くは、投稿作品の返却時に「批評シート」を同封してくれます。それが次の作品作りへのモチベーションになるというわけです。
私も「批評シート」を頂き、それを糧に練習しました。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

作品名とペンネームは内緒ですw。ちなみにBクラス止まりでした。

高校の頃はブラスバンドと写真が中心でしたが、それでも漫画は描いていました。連絡帳や活動記録でもある筈の部誌にイラストを描いてしまう、とても迷惑なやつでしたwwww。

自分の中で温めている題材や実際に描いた題材のベースの幾つかは、投稿時代にストックした少女マンガネタがあります。
また、厨二病的な内容だったと思われますが、ノート数冊分作ったキャラクター設定ノートも自分のキャラクター作りの根っこになったように思います。作ったキャラを組み合わせてエピソード考えたりストーリー考えたりしていました。

自分の漫画作りの考え方の一つは…

「とあるキャラと、とあるキャラが、とある舞台で出会ったら、そこで新しい物語が生まれる」

…というものでした。

実際には、全く接点や共通点がないキャラクターが突発的に出会っても、そう簡単には期待する「物語」は生まれず、きっかけになるエピソードさえ生まれずにただ通りすぎて終わるんでしょうけど、そこは伝家の宝刀「ご都合主義」(w)で出会う必然を用意してしまうのです。

…というのいは冗談みたいな話ですが、結構それを考えるのが好きでした。

いわゆる「三題話」を作るトレーニングも似たようなものじゃないかと思います。
鈴木光明先生の「少女マンガ入門」にも書かれていた練習方法で、本来何の関係もなさそうな単語3つを使い、ストーリーを組むという練習です。
これに似たようなプロットづくりをよくやっていました。これは発想力・連想力を養うには結構いい練習だったように思います。

さて、もう一つ蔵出ししてみます。

これはプロになってからですが、時間があればよくやっていたことの一つが「背景バンク作り」でした。
カメラ持ってロケハン行って撮影した写真を元に背景を描いていました。必ずしもすべて自分が撮影した写真だったわけではありません。自分では撮影困難な場所や角度の写真も参考にしましたが、基本「トレス」をせずに描くように心がけていましたので、如何に効率よくそれっぽく描くのかばかり考えていました。

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

この背景画は、都庁がまだ建っていない時期の新宿なので、背景バングとしてはほとんど使うこともせずでした。今の時代だと、もっといっぱい建ってますよね。もう古すぎてとても使えません(^_^;)細かく見ると、ホワイトとトーンの使い方が結構絶妙だったりします。

でももう一度描けと言われたら、こんなむ面倒くさそうで、気が狂いそうになるモノは描かないかも。でも背景画描くのは今でも結構好きです。(「上手い」どうかは別にして…)

また近いうちに古い過去の題材を引っ張り出すかもしれません。

下描き→ペン入れのジレンマ

絵を描いてて時々感じる現象…

「下描きで、結構いい感じに描けたのに、ペン入れしたらダメになった」

これ、下描きでは多くの線が重なりあっているので、眼と脳が一番理想的な線を多くの線の中から見つけて無意識に補完してしまうから上手く描けた様に感じるとか…。
その一方、ペン入れでは実際に一番理想的な線をたどることが出来なくて、結局劣化したように感じてしまうという事らしいです。

要は「一番理想的な線を引くことが出来ない」=「力量が不足している」ってことなんですよね…。正直それは否めません。独学で下手クソなまま長年描いて来たので、悪い癖が染み付いてしまっていて、自分が欲しい線を思う通りに拾えないジレンマに陥ることがよくあります。

そんな実例を少し…

HDD内のファイルを整理していたら、一昨年の夏くらいにCLIP STUDIO PAINTで何気なく描いたラフ画が見つかりました。この状態で放置したままです。

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

その顔部分のUPです。

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

ちょっと今回服を季節に合わせて変更していますが、顔はそこそこ可愛く描いているんじゃないかなとは思っています。

実はこのラフ画、ペン入れ途中で放置していました。

CLIP STUDIO PAINTの二値化ペンの練習のつもりだったみたいで、データを見ると試行錯誤していた跡がありました。

せっかくなので、先程ちょろっとペン入れを進めてみた結果……

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

CLIP STUDIO PAINT EX / Windows7 Snipping Tool

なんだか大分イメージが変わってしまいました…。
これじゃない…、あんまり可愛くない…。なんでこんなになっちゃうんだろう…ってちょっとしたジレンマを味わっています。

多くの漫画家さんがそうであるように、目で絵柄が決まると言ってもいいくらいですが、自分の絵の場合は目の描き方は結構大きなポイントでもあるので、結構試行錯誤を繰り返しています。
デジタルだとついつい細かいところもみっちり描いてしまうので、目の描き方が昔とは結構変わっていて、それも影響しているのかもしれません。

また、CLIP STUDIO PAINTの二値の線がどうも馴染んでいないというのも影響しています。アンチエイリアスをONにした線はかなり思ったとおりの線が出やすいんですが、二値の線はいくら描いても感触が違います。ComicStudioとはエンジンが違うというのも有るんでしょうけど、個人的にはComicStudioのタッチの邦画好きなので、その線が出せていないというのも原因の一つです。

弘法筆を選ばずとは言いますが、ツールが変われば結果も変わってしまうものです。
思ったように描けなくなるのはある程度は織り込み済みながらも、その中で理想的な線を求めていくしか無いので、ペン入れをした結果「よし最高のペン入れが出来た!」と思える様に、理想とする線が引けるように、今後も試行錯誤していく事になりそうです。

でも、昔と今と大きく変わっていない点が一つあります。それは、必ず「目キラ」を入れているってことなんですよねw(^_^;)。